MT4表示時間とは何か
MetaTrader4（MT4）は、世界中のトレーダーが利用する取引プラットフォームであり、チャート上に表示される時間は非常に重要な情報です。しかし、この「表示時間」は必ずしも利用者が住んでいる国や地域の現地時間と一致するわけではありません。MT4における表示時間は、基本的に利用しているブローカーのサーバー時間を基準として設定されています。そのため、日本時間と比較して数時間のずれが生じることが一般的です。
サーバー時間とローカル時間の違い
MT4の時間設定はユーザーが任意で変更できるものではなく、ブローカーが指定するサーバー時間に依存しています。例えば、海外のブローカーではサーバー時間がGMT+2やGMT+3に設定されていることが多く、これはニューヨーク市場やロンドン市場の取引時間と整合性を取るための措置です。その結果、日本時間（JST）と比較すると、表示される時間に大きな差が生じることになります。
例：サーバー時間がGMT+2であれば、日本時間との差は+7時間（または夏時間適用時は+6時間）となります。
夏時間（サマータイム）の影響
欧米諸国では夏時間が導入されているため、サーバー時間も季節によって変更される場合があります。これにより、同じブローカーであっても夏時間と冬時間でMT4の表示時間が異なるケースがあります。トレーダーはこの変更を理解し、取引戦略や経済指標発表のタイミングに影響を与えないよう注意する必要があります。
経済指標と表示時間の関係
経済指標カレンダーを参照する際、発表時刻は通常「現地時間」または「日本時間」で表記されます。しかしMT4上のチャートはブローカーのサーバー時間で表示されるため、その差を考慮しなければ指標発表に合わせた取引が困難になります。例えば、米国雇用統計が21:30（日本時間）に発表される場合、MT4のサーバー時間がGMT+2であれば表示は14:30となります。このずれを理解しておくことが、正確なトレード判断に直結します。
表示時間を調整する方法
MT4そのものにはサーバー時間を直接変更する機能は存在しませんが、以下の方法で補正することが可能です。
インディケーターの利用
カスタムインディケーターを導入することで、チャート上に現地時間や日本時間を併記できます。これにより、サーバー時間と日本時間のずれを視覚的に確認でき、取引の混乱を防ぐことができます。
経済指標カレンダーとの突き合わせ
日常的に利用する経済指標カレンダーとMT4のチャート時間を比較し、差を把握しておくことが大切です。取引開始前に「何時間ずれているか」を明確にしておくことで、誤ったタイミングでエントリーするリスクを軽減できます。
携帯端末やPCの時計との同期
MT4とは別に、PCやスマートフォンの時計を日本時間に設定し、MT4と照合することで常に時間差を把握できます。このシンプルな方法は初心者にも有効です。
トレード戦略への影響
MT4の表示時間は単なる見かけの数字ではなく、取引戦略そのものに大きく影響を与えます。特に以下の点に注意する必要があります。
ロンドン市場とニューヨーク市場の重複時間
世界で最も取引が活発になるのは、ロンドン市場とニューヨーク市場が重なる時間帯です。サーバー時間を基準としたチャートでは、この重複時間を正確に把握することが必須となります。
デイリーバーと週足の開始時刻
MT4では1日の区切りがサーバー時間によって定義されるため、日足や週足のローソク足形成タイミングが異なる場合があります。分析結果に影響を及ぼすため、利用しているブローカーのサーバー設定を理解することが重要です。
ロスカットや決済注文の時間
自動売買（EA）や指値・逆指値注文を利用する場合、サーバー時間を基準に発動することが多いため、日本時間と勘違いしていると誤発注や不本意な損切りにつながる恐れがあります。
ブローカーごとの違い
ブローカーによってサーバー時間の設定は異なります。あるブローカーではGMT+2を採用し、別のブローカーではGMT+0を採用するなど統一性はありません。そのため、複数の口座を利用するトレーダーは、口座ごとに時間差を管理する習慣を持つ必要があります。
実務的な工夫
MT4表示時間を正しく理解し、トレードに活かすためには以下のような工夫が効果的です。
- トレード日誌に時間差を記載する
取引記録に「MT4時間」「日本時間」の両方を併記することで、後から振り返る際に混乱を防げます。 - EAやインジケーターに補正機能を組み込む
プログラムを利用している場合は、サーバー時間から日本時間へ自動換算するロジックを組み込むことが可能です。 - 定期的にサーバー時間を確認する
夏時間やブローカーの変更に伴い時間差が変わることがあるため、少なくとも月に一度は経済指標とチャートを比較し、差異がないか確認することを推奨します。
まとめ
MT4の表示時間はブローカーのサーバー時間を基準としており、日本時間や経済指標発表時間と常に一致するわけではありません。夏時間やサーバー設定の違いによって変動するため、トレーダーは時間差を常に意識し、取引戦略に反映させる必要があります。表示時間を正しく理解することが、安定したトレード成果につながる重要な要素となります。