pipsの基本概念
外国為替証拠金取引（FX）において、**pips（ピップス）**は価格変動を測定する最小単位として用いられます。通常、通貨ペアの価格は小数点以下4桁または5桁で表示されますが、そのうち小数点以下第4位を1pipsと呼びます。例えば、EUR/USDが1.1000から1.1001に動いた場合、それは1pipsの値動きを意味します。
通貨ペアごとのpipsの定義
- 主要通貨ペア（EUR/USD、GBP/USD、AUD/USDなど）
小数点以下第4位が1pips。
例：1.1200 → 1.1201 が1pips。 - クロス円（USD/JPY、EUR/JPYなど）
小数点以下第2位が1pips。
例：150.00 → 150.01 が1pips。
このように、通貨ペアの表示桁数によってpipsの定義が異なります。
1pipsの価値計算方法
1pipsの価値は取引数量（ロット数）、取引する通貨ペア、そして口座の基軸通貨によって異なります。計算式は以下の通りです。
1pipsの価値 ＝ （pips数 × 取引数量 × 最小単位通貨） ÷ 為替レート
ここで、最小単位通貨とは基軸通貨が1ロットあたりどれだけの数量を表すかを意味します。
一般的にFXでは以下の単位が使われます。
- 1ロット＝100,000通貨
- 0.1ロット＝10,000通貨
- 0.01ロット＝1,000通貨
主要通貨ペアでの具体例
- EUR/USDを1ロット取引する場合
1pipsの変動は10USDとなります。
0.1ロットなら1USD、0.01ロットなら0.1USDです。 - USD/JPYを1ロット取引する場合（レート150円の場合）
1pipsの変動は約1,000円となります。
0.1ロットなら100円、0.01ロットなら10円です。
クロス円の特徴
クロス円はレートの桁数が異なるため計算方法も若干変わります。例えば、EUR/JPYを100,000通貨（1ロット）取引する場合、1pipsはおおよそ1,000円前後となります。レートによって多少の差はありますが、概ねこの範囲内に収まります。
口座通貨による違い
取引口座の基軸通貨がUSD、JPY、EURなど何であるかによっても1pipsの価値は変化します。例えば、口座通貨がJPYの場合、USD/JPYやEUR/JPYなどのクロス円ペアでは直接円換算されますが、EUR/USDを取引する際にはUSDから円に換算する必要があります。
ミニロット・マイクロロットでの1pips
初心者がよく利用する**0.1ロット（1万通貨）や0.01ロット（1千通貨）**でもpipsの価値は明確に計算できます。
- EUR/USD 0.1ロット：1pips＝1USD
- EUR/USD 0.01ロット：1pips＝0.1USD
- USD/JPY 0.1ロット：1pips＝約100円
- USD/JPY 0.01ロット：1pips＝約10円
レバレッジとpips価値の関係
レバレッジは必要証拠金に影響しますが、pipsの価値自体には直接関係しません。レバレッジを高くしても低くしても、1pipsの金額はロット数と通貨ペアによって決まります。ただしレバレッジが大きいと少ない証拠金で大きなポジションを持つことができるため、結果的にpipsの利益・損失の金額が急増する点には注意が必要です。
pips計算の実践例
- USD/JPYを150.00で1ロット買い
→ レートが150.10まで上昇（+10pips）
→ 利益＝1,000円 × 10＝10,000円 - EUR/USDを1.1000で0.1ロット売り
→ レートが1.0980まで下落（+20pips）
→ 利益＝1USD × 20＝20USD - GBP/USDを1.2500で0.01ロット買い
→ レートが1.2515まで上昇（+15pips）
→ 利益＝0.1USD × 15＝1.5USD
まとめ
FXにおける1pipsの価値は取引通貨ペアとロット数、そして口座の基軸通貨によって決まります。一般的に1ロット（10万通貨）取引では主要通貨ペアで1pips＝10USD、クロス円で1pips＝約1,000円となります。小さなロットで取引する場合にはそれに応じて金額も縮小されます。pipsの価値を正確に理解することは、リスク管理や利益目標の設定において極めて重要です。