外国為替市場(FX市場)は、世界中の主要金融センターが時差をもって開くことによって24時間稼働しています。その中でもロンドン市場は、取引量・参加者数・流動性の点で世界最大規模を誇る市場であり、特に欧州時間帯における中心的な役割を担っております。ここでは、ロンドン市場の取引開始時間や特徴、取引に与える影響について詳しく解説いたします。
ロンドン市場の取引開始時間
ロンドン市場は現地時間の午前8時にオープンし、午後5時にクローズいたします。日本時間では、夏時間(サマータイム)においては午後4時から翌午前1時、冬時間では午後5時から翌午前2時までがロンドン市場の取引時間帯となります。
この時間帯は、アジア市場が終盤を迎え、ニューヨーク市場が始まる前の重要な橋渡しの時間でもあり、特に為替相場が大きく動きやすい時間帯とされております。
ロンドン市場の特徴
ロンドン市場は世界の外貨取引の中で最もシェアが高く、全体の約40%前後を占めていると言われております。そのため、多くのトレーダーや機関投資家がこの時間帯に集中し、相場の動意づけが起こりやすくなります。
特に下記の特徴が挙げられます。
- 流動性が非常に高い
主要通貨ペア(EUR/USD、GBP/USD、USD/JPYなど)が活発に取引され、スプレッドも縮小しやすい傾向がございます。 - 経済指標の発表が多い
欧州・英国の経済指標発表が重なるため、相場が大きく変動するリスクとチャンスが存在します。 - ニューヨーク市場との重複時間帯
ロンドン市場とニューヨーク市場が重なる時間(日本時間で午後9時から翌午前1時)は、世界で最も取引が活発な時間帯とされ、値動きが大きくなる傾向がございます。
ロンドン市場の取引時間がトレードに与える影響
ロンドン市場が開くと、アジア市場での静かな動きから一転し、相場のボラティリティが急激に高まることが多いです。特に欧州勢が新規ポジションを取る時間帯にあたるため、トレンドが生まれやすくなります。
- アジア時間のレンジ相場からのブレイクアウト
東京市場の時間帯に形成された狭い値幅を、ロンドン市場の参加者が大きく動かすことがございます。 - 重要な経済指標による急変動
英国やユーロ圏の経済データ発表直後には、短時間で大きな値動きが起こる可能性がございます。 - ニューヨーク市場との連動性
ロンドン市場後半からニューヨーク市場序盤にかけては、世界的な金融センターの動きが重なるため、値動きがさらに激しくなる傾向がございます。
ロンドン市場を活用する取引戦略
ロンドン市場を意識した取引手法としては以下のような戦略がございます。
- ブレイクアウト戦略
アジア時間で形成されたレンジを基準に、ロンドン市場のオープン後に発生するブレイクを狙う方法です。 - 経済指標トレード
英国やユーロ圏の主要指標発表を活用し、短期的な急騰・急落を狙うトレードです。 - ロンドン・ニューヨーク重複時間のトレンドフォロー
世界中の資金が集中する時間帯に、強いトレンドに乗る戦略です。
ロンドン市場と他市場の比較
- 東京市場(午前9時~午後6時)
流動性は比較的低めでレンジ相場になりやすい傾向がございます。 - ニューヨーク市場(午後9時~翌午前6時、日本時間)
経済指標や要人発言などで値動きが大きくなることが多く、ロンドン市場と並ぶ重要な時間帯です。 - シドニー市場(午前7時~午後3時、日本時間)
取引量は少なめですが、週明けのオープン時には窓開けなどが発生することもございます。
ロンドン市場の重要性まとめ
ロンドン市場は、世界最大の取引量を誇るFX市場の中心であり、特に日本時間の午後から深夜にかけて活発な値動きが生じます。流動性が高く、トレンドが生まれやすい特徴を持つため、FXトレーダーにとっては極めて重要な時間帯です。アジア市場での値動きを引き継ぎ、ニューヨーク市場へとつながるため、取引戦略を立てる上で外すことのできない存在と言えるでしょう。